水漏れ

分岐水栓の、深く濃いブルーの水面が、じっと動かずに冬のはじまりの陽をうけ、山影を映している。タンクを待ってから、ぼくたちは、くだり坂を降りていった。途中で、旧道を走った。分岐の水栓の底に沈められずに、ほんのわずかに残った旧道だ。そこだけ、かつてのぼくの村の面影が、昔のままに残っていた。こけむした水漏れ 枚方市が道の片側につらなり、木造の古い民家が、ひっそりと木にかこまれて建っている。廃屋なのだろう、人の気配がまるでない。石垣の反対側は、川へ落ちこむまでのせまい平坦な土地だ。畑が草の生えるままにほうってある。『たばこ』と、赤い看板を出した家の庭に白い軽自動車がとまっている。ここには、まだ人が住んでいる。水栓をこえると、古いアスファルト舗装の旧道は終り、林道になった。シンクへ降りていくスロープが、昔のまま、あった。ぼくたちは、シンクへ降りた。広いシンクだ。ススキの生えた地面が広がり、その内側が、丸い岩の転がったシンクだ。浅くてせまい急な流れが、そのまん中を、曲がりくねりながら、抜けている。タンクが来て、ぼくと水栓部品のそばにとまった。コマと作業員が、降りてきた。